沿革
NPO法人アーステクノは、有機性廃棄物を「好気性微生物」の力によって、容積を1/3に減らし、土壌汚染なく植物に養分を与える「無菌・無臭」の物質(肥料)に変換し、本来あるべき正常な自然循環(自然にカエル)を実現することを目的に設立されました
<法人設立の背景>
我が国においては、主な化学肥料の原料である尿素、リン安(りん酸アンモニウム)、塩化加里(塩化カリウム)は、ほぼ輸入に依存しています。 世界的に資源が偏在しているため、輸入相手も偏在している状況です。 特に、リン安については、約76%を中国からの輸入が占めています(財務省「貿易統計」(令和3年7月~令和4年6月))。
また、2021年半ば以降、穀物需要の増加や原油・天然ガス価格の上昇や、中国による肥料原料の輸出検査の厳格化等に伴い、肥料原料の国際価格が高騰しています。 さらに、ロシアのウクライナ侵攻がこれらの価格高騰にも拍車をかけています。
下水汚泥資源の肥料利用は、大きくコンポスト化とリン回収の2種類の方法で行われており、現状、民間企業等への汚泥の処理委託を含め、約1,000の処理場が実施しているが、複数の利用・処理方法の中の⼀つとして肥料利用を実施している処理場が多く、全汚泥発生量に対する肥料利用の割合は僅か1割にとどまっています。
このような状況において、国土交通省は、令和5年4月 下水汚泥資源の肥料利用の拡大に向けた検討の進め方を公表し、以下の考え方を示しています。
① 下水道管理者は今後、発生汚泥等の処理を行うに当たっては、肥料としての利用を最優先し、最大限の利用を行うこととする。
② 焼却処理は汚泥の減量化の手段として有効であるが、コンポスト化や乾燥による肥料利用が困難な場合に限り選択することとし、焼却処理を行う場合も、焼却灰の肥料利用、汚泥処理過程でのリン回収等を検討する。
③ 燃料化は汚泥の再生利用として有効であるが、コンポスト化や乾燥による肥料利用が困難な場合に限り選択することとし、燃料化を行う場合も、炭化汚泥の肥料利用、汚泥処理過程でのリン回収等を検討する。
従って、今後の廃棄物処理事業では、下水汚泥などの有機性廃棄物については、優先的に肥料として活用する事が求められています。 アーステクノはこのような背景に鑑み、有機性廃棄物の肥料化事業への参入を提案いたします。
1.汚泥など有機性廃棄物の処理・資源化を取巻く環境
環境基本法に基づく循環型社会形成推進基本法が2000年5月に制定されました。 これが、21世紀における日本の廃棄物リサイクル対策を推進する基盤となっています。 廃棄物全般に関する廃棄物処理やリサイクルの仕組みについては、「廃棄物処理法」と「資源有効利用促進法」で管理されています。
国土交通省の資料によると、下水汚泥の多くは建設資材に利用され、肥料利用は現在約1割にとどまっています。一方、輸入依存度の高い肥料原料の価格が高騰する中、持続可能な食料システムの確立に向け、下水汚泥を肥料として活用することが改めて重要視されています。
汚泥の処理方法は、ほかの産業廃棄物と同様、「発生抑制」「再使用(Reuse)」「再生利用(Recycle)」「熱回収」「適正処分」の順で処理することが求められていますが、2004年度の処理状況は、下記のとおり報告されています。
① 濃縮・脱水・焼却などにより減容化(汚泥全体の85%)
② 再利用(汚泥全体の10%)
③ 埋め立て処分(汚泥全体の5%)
1990年以前は、汚泥の約9割が埋め立てされていたことを考えると、状況はだいぶ改善していますが、再利用(再資源化)に関しては、動物の糞尿の再利用が9割以上であるのに対して、汚泥は7割程度と、まだまだ高い水準には達していないのが現状です。 自然環境を守るためにも、汚泥の正しい処分方法を知り、再資源化を心がけることが必要です。
他方、汚泥コンポスト化の課題としては、下水汚泥における重金属の含有リスクや、重金属等も含めた下水道へのネガティブイメージ及び散布・施肥方法に関するノウハウ不足による流通経路の確保等があります。 しかし、リン回収については、消化汚泥から回収する方法や、焼却灰から回収する方法等がありますが、リン回収施設のコストが高い等の課題により、現状、5自治体(6処理場)での実施にとどまっています。
<汚泥処理について>
生活雑排水や し尿、食品工場排水には有機物や重金属など様々な物質が含まれており、そのまま河川等に放流すると水質の悪化や汚染を引き起こします。
そのため、下水処理場や工場内の処理施設等で、排水中に含まれる環境汚染の原因となる様々な物質を、微生物により分解・吸着し、水を浄化します。この水を放流することにより、河川等の水質汚染を防止しています。
浄化の過程で微生物の死骸が集まって沈殿し汚泥となります。汚泥は、植物の栄養となる窒素やリンとともに重金属などの有害物質を含みます。下水処理場から定期的に運び出される汚泥中のこれらの成分の濃度は、処理する排水の量や排水中に含まれる汚染物質の濃度によって変化します。
発生した汚泥は廃棄物として処理されますが、その一部はセメントの原料や汚泥肥料の原料として利用されています。
近年、下水汚泥に豊富に含まれているリンが注目されている。 わが国はリンのほとんどを輸入に頼っているが、リン鉱石の価格は上昇傾向にあり、涸渇も懸念されることから、汚泥焼却灰からのリン回収技術も研究されています。
<汚泥肥料について>
汚泥肥料とは、汚泥を乾燥し粉砕、発酵させることにより肥料としてリサイクルするものです。 近年、肥料原料価格の高騰により、汚泥の肥料原料としての利用が増えています。
汚泥肥料は、植物に有益な窒素、リン酸などの栄養分を豊富に含む一方で、排水に含まれていたカドミウムや水銀などの有害な重金属が汚泥による処理や肥料製造工程によって濃縮し、高濃度になっている可能性があります。
そこで農林水産省は、汚泥肥料中の有害重金属の基準を設定し、これを超える濃度の有害重金属を含む製品の生産・販売を規制するとともに、肥料の製造者がこれらの基準に従って適切に管理することを義務付けています。
このため、汚泥肥料には以下の表のとおり有害な重金属に対する規制があります。
現在、汚泥肥料は、一般消費者向けとしてはほとんど流通しておらず、主に農家に直接販売されています。 また、重量の割には低価格で、使用量がトン単位であるため、あまり広域流通していないのが現状です。
2.下水道汚泥等の処理に関する基本的考え方の変化(国土交通省水管理・国土保全局下水道部)(令和 5.3.17 国水下企第99 号)
下水道汚泥の肥料としての利用については、「食料安全保障強化政策大綱」(令和4年 12 月 27 日 食 料安定供給・農林水産業基盤強化本部決定)において、2030 年までに、下水汚泥資源・堆肥の肥料 利用量を倍増し、肥料の使用量(リンベース)に占める国内資源の利用割合を 40%まで拡大する旨 が示されました。 このような背景を踏まえて国土交通省は、下水道事業を通じた循環型社会の実現への貢献を更に拡大するべく、 今後の発生汚泥等の処理に関する基本的考え方を下記の通り修正、地方自治体と政府・地方行政機関(下水道部局等)に対し、下水道汚泥等の処理に関し以下のような新基本方針を提示しています。
(1) 下水道管理者は今後、発生汚泥等の処理を行うに当たっては、肥料としての利用を最優先し、最大限の利用を行うこととする。
(2) 焼却処理は汚泥の減量化の手段として有効であるが、コンポスト化や乾燥による肥料利用が困難な場合に限り選択することとし、焼却処理を行う場合も、焼却灰の肥料利用、汚泥処理過程でのリン回収等を検討する。
(3) 燃料化は汚泥の再生利用として有効であるが、コンポスト化や乾燥による肥料利用が困難な場合に限り選択することとし、燃料化を行う場合も、炭化汚泥の肥料利用、汚泥処理過程でのリン回収等を検討する。
(4) 肥料利用の拡大に当たっては、特に、以下の点に留意すること。
①下水道管理者と関係地方公共団体の農政部局・農業関係者が緊密に連携する。
② 民間企業の施設、ノウハウ等も積極的に活用する。
③ 肥料利用と脱炭素に向けた取組は両立しうるものであり、肥料利用を行う場合においても、バイオガス等のエネルギー利用を積極的に進める。
④ 現在の施設の状況、適切な下水道経営等の観点や温暖化対策関連計画、広域化・共同化計画等の既存関連計画も総合的に勘案しつつ、速やかな肥料利用の拡大に努める。
また、各地方公共団体が、地域特性に応じてコンポスト化、リン回収等、下水汚泥資源を肥料として最大限に利用できるように、農政部局、下水道部局との緊密な連携体制を確保するとともに、安全性・品質の確保、農業者・消費者の理解促進等の取組を実施する。
このような、政府・行政側の考え方の変化に加え、ウクライナ情勢や中国の輸出規制で化学肥料の原料が高騰しており、地場産の肥料が安価な代替品(化学肥料が20キロ数千円となる中、汚泥由来の肥料は10キロ20円と安価なことも選択の理由の一つになっている。)となって注文が殺到、6月の販売量は前年の2倍に上ったとの某地方自治体の情報もあります。 選ばれる要因として、生産コストが圧縮できるだけでなく、環境負荷の軽減も考慮されているようです。
これまで、市町村の下水処理場から抜き出された汚泥は、脱水後、焼却処分されるのが大半でしたが、2011年頃から肥料に加工し販売する事業者が現れています。 温室効果ガスの発生を抑えると共に、処理費用の削減にも繋がっています。
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